部屋の底で、悲しみを抱いて居る。
本当にあったのは、只の絶望だけだったけれども。
彼は気付かなかった。

深い眠りにもつけず、虚ろな瞳で空を仰いでいた。
鳥が一羽飛び去る。気付かない。
シーツの皺は随分前についたもので、浅く呼吸をする度に小さく波打つ。
かかりっぱなしのCDが只、綺麗なメロディーを奏でて居る。

遠くでは車のクラクションが鳴る。
けれども其れは、彼には全く関係が無かった。
未だ茫然と天上を眺め回して居る。

今日は快晴だ。
少し気温が高かったが、湿気が無いので然程気にはならない。

彼は、気だるそうに体を起こし、何かのプリントやら本やらが山積みになっている机の上から
分厚いアルバムを引っ張り出した。
其れは高校時代のもので、未だ幼い彼や、級友たちが楽しげに笑っていた。

と、1人だけ。
居ない。
一番最後に、全員で撮った写真の中に、居ない人がいた。
ぱらぱらと少し戻ってみる。
其処には、明るく無邪気に笑う少女の姿。


朦朧としてゆく意識の中で、彼は解っていた。
彼女が如何なったのか。
何しろ彼女とは、異常な程仲が良かった。
昼夜を共に過ごす事も多く、相談事も良くしていた。

ガンガンと酷く痛む頭の隅で、彼は知っていた。
彼女が如何なったのか。
彼女の頭は冷蔵庫に。
身体はばらばらにして庭に埋めてある。

たまに冷蔵庫を開けては、半分腐りかけた彼女に口付ける。