ぞっとした。
自分が此の世から、綺麗さっぱり無くなる事を考えたんだ。
只、何も云わずに
まるで自分が無かったかのように。

居なくなった事に誰も気付いてくれない。
君さえ
君さえ
君さえ……。

そう思ったら、怖くて震えが止まらなくなって。
つ、と額を冷たい汗が走った。

怖い。
君に忘れ去られて仕舞う事が。
途轍もなく怖い。
死ぬよりも。

急いで君に電話をかけた。
震える指で番号を押す。
呼び出し音がやたら長くて、煩い。

声を聴いた瞬間、力が抜けた。
凄く、ほっとして。
如何したの?なんて無邪気に訊ねる君。
何でも無いよと、柔らかく答える。

大丈夫、自分は、此処に居て。
君は、忘れてなんか居なかった。
其れだけで、良かった。